工房のかたすみ
The corner of my workshop  Vol.4

 



もう数年前の事になりますが、友人が誕生日に一冊の本を贈ってくれました。
ずっと前から欲しいと思っていた本でしたので、その時のうれしい気持ちは今もはっきりと覚えています。( 持つべきは友… *^_^* デス。 )
 
この本のタイトルは「ターシャ・テューダー手作りの世界/暖炉の火のそばで」。
ターシャ・テューダー(1915〜2008)はアメリカ、バーモント州の田舎で19世紀さながらの、古き良き時代の生活を実践した女性です。
この本が出版された当時も少し話題になりましたし、一昨年某百貨店で全国規模の巡回展がありましたのでご存じの方もたくさんいらっしゃることと思います。
 
彼女はもともと絵本作家で、この本のために描かれた絵も数点ほど載せられています。
でも何よりも、始めてこの本を見た時に引きつけられたのは彼女の手先から生まれる様々なものとその生活ぶりです。

シェーカーやアーミッシュの人たちの暮らしは少し窮屈な印象もありますが、ターシャの生き方はとても自然で自由です。その生き方はもちろん到底まねの出来ない事ばかりですが憧れる部分が沢山あります。

ターシャは自家製のハーブやトマトソース、山羊を搾乳して作ったバターなどで様々な料理やパイ、クッキーを作ります。
家族に代々伝わる、オリジナルのレシピが書かれたノートもすごい迫力…。
料理用の薪ストーブやバターの表面に模様を付けるための木型など、様々な道具も長いあいだ大切に使い続けられてきた、見るからに味わい深いものばかりです。

摘んだ花を素敵なストーンウェアに生けて、アンティークの椅子やテーブルウェアでお茶を楽しみ、それから織機に座って昔ながらの格子柄の布地を織ります。その布地で作ったシャツはとても長持ちするそうです。
染色した毛糸を紡いで編み物もしますし、石鹸を作り、花のリースやカゴを編み、それに彼女の描く水彩画も温かみがあってとても素敵です。他にも人形や動物たちの置物など沢山のものを作ります。
着ているものも殆ど手作り、19世紀風のものですがとてもお洒落です。

夜、暖炉のそばでパッチワークをしている小柄な彼女の写真がカバーに使われています。
針仕事をしているその手は少し節くれだっているようにも見えますが何の変哲もない手です。でもすべてはその手から生まれてくるのです。

ごく自然に生活の中の一つ一つの仕事を坦々とこなし、必要なものだけでなく、楽しいものや美しいもの、夢のあるものを手作りしながら歳を重ねてきたことに一種の気高ささえ感じます。

この本を見、読み終えると楽しさや感動と裏腹に自分自身への不甲斐なさを覚えてしまうのですが、同時に今の生活を振り返ってみて何が幸福なのか改めて考えさせられます。
答えは出てきませんが、それでもこの本によって少しずつ自分の中の何かが変わっていくような気がしています。
いつでも手の届くところへ置いておきたい一冊です。



 


 

「ターシャ・テューダー手作りの世界/暖炉の火のそばで」
(株)メディアファクトリー発行 トーバ・マーティン著

ターシャ・テューダーの本はこのほかにも色々とありますので ぜひお読み頂ければと思います。

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